市様にサイクロンを設置しない移動式ペット火葬炉についても同市の条例に適合するものがあること、そして、弊社の移動式ペット火葬炉が同条例に適合しているものであることを認めていただきました。
1 堺市ペット霊園の設置等に関する条例について
⑴ 移動式ペット火葬炉につきましては、多くの地方公共団体の条例でサイク ロンの設置を義務付けるものが多いことは皆様もご存じのことかと思います。堺市におきましても堺市ペット霊園の設置等に関する条例第20条(移動火葬車による火葬業の届出)で「業として、移動火葬車を使用して市内で火葬を行なおうとする者は、あらかじめ、規則で定めるところにより、市長に届け出なければならない」と定め、その届出については第21条(移動火葬車の使用制限等)の第1項で「火葬を行うための設備が第12条第4号に掲げる基準に適合するものでなければ、当該設備を使用してはならない」とし、第12条第4号オで「防音、防臭及び防じんについて、規則で定める十分な能力を有するものであること」と規定され、それを受けての規則の7条で「条例第12条のオの規則で定める十分な能力は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるものとする」として、その3号で「遠心力集じん装置、洗浄集じん装置その他の集じんに関する機能を有していること」と規定し、遠心力集じん装置いわゆるサイクロンについて規定しています(なお、「洗浄集じん装置」とは、いわゆるスクラバーです)。この規定について、弊社が問い合わせたところ(弊社において直に堺市の担当者様と会って話をしました)、堺市は、当初、「移動式ペット火葬炉について、遠心力集じん装置が設置されたうえで、そのペット火葬炉が「防じんについて十分な能力を有するもの」であることが要件であること、すなわち、堺市において届け出ることによって稼働できる移動式ペット火葬炉については遠心力集じん装置・サイクロンの設置が必須であると回答してきました。
⑵ この堺市の回答に対して、弊社は、次の2つの点から意見を述べてさせて いただきました。
① 1つは、条例と規則の条文上の解釈として、上記のように規則の7条第 3号では「遠心力集じん装置」が設置され、かつ、「その他の集じんに関する機能を有していること」と規定されていないので、遠心力集じん装置=サイクロンが設置されていなくとも、「集じんに関する機能を有」することによって「防じんについて、規則で定める十分な能力を有するものであること」(条例12条4号オ)になるのではないか、すなわち、規則第7条第3号は「遠心力集じん装置、洗浄集じん装置」が設置されているか、又は、「その他の集じんに関する機能を有してい」ればよいのではないかということです。これは、他の条例にも、例えば、横浜市条例・規則では「サイクロン又はこれと同等以上の機能を有する集じん装置を設置すること」や、草加市条例・規則では「サイクロン集じん装置または洗浄集じん装置と同等以上の能力を有する集じん装置を設置」するということにも適合する解釈ということです。
② もう1つは、実質的な観点から、移動式ペット火葬炉を稼働させた場合に生じる粉じん等の防止=防じんについては、サイクロンを設置することよりも、いかにそのペット火葬炉が防じんのための機能を十全に備えているのかを問題とすべきことを、サイクロンを設置すればむしろ火葬能力が低下して完全燃焼ができず粉じんが発生(又は増加)することを、移動式ペット火葬炉にサイクロンの設置を条例で義務付けるようになった経緯を踏まえて説明させていただきました。
(以上の①、②についての詳細は、後記の「堺市の条例・規則を踏まえて の弊社の意見」をご参照してください)
2 弊社の意見に対する堺市からの回答
上記の弊社の意見に対しまして、堺市の健康福祉局 保健所 環境薬務課のご 担当者様から、傾聴に値する意見であること、上記の意見を踏まえて、堺市におけるペット火葬炉稼働についていかなるものが適切であるのかを検討させていただく旨のご指摘をいただきました。そして、弊社の意見提出から約半年後の本年3月11日に堺市のご担当者様から、
① 条例の解釈について、条例第12条第4号オ、条例施行規則7条第3号は、「遠心力集じん装置、洗浄集じん装置が設置されていること」「又は」、「移動火葬車の当該構造設備がこれらの装置と同等の機能を有していること」であればよいこと、すなわち、上記の弊社の意見のように、遠心力集じん装置=サイクロンが設置されていなくとも、適切な「集じんに関する機能を有」する移動式ペット火葬炉であれば「防じんについて、規則で定める十分な能力を有するものである」と認められるとの回答をいただきました。
② ただし、その機能を有しているかについては、検査機関(計量証明事業者)に検査を依頼し実施した、排ガスに関する直近1年以内の検査証明書(火葬を行った動物の種類及び大きさ、ばいじん濃度の測定結果の記載があるもの)という客観的資料により確認できることが必要ということです。そして、この検査機関の検査証明書については、弊社が製造した移動式ペット火葬炉については、弊社が製造してから間もないところで堺市に条例20条の届出をしていただいた場合には不要ということ、すなわち、弊社の移動式ペット火葬炉につきましては、既に堺市に検査結果等を知らせてありその検査結果等から上の機能と十分な能力を有するものであることが確認できているので、製造間もない弊社の移動式ペット火葬炉というだけで上の検査証明ができているという扱いにするということもご回答いただきました。
3 今般の堺市からの回答が意味すること
今般、移動式ペット火葬炉について、防じんのための同火葬炉の装置、能力はどうあるべきものなのかということについて、堺市のご担当者様から上記のようなご回答をいただきましたが、同ご回答には2つの意味があると弊社は考えています。
⑴ 1つは、これまでの各地方自治体・市町村のペット火葬炉の条例においては、公衆衛生と生活環境の保全から同火葬炉を稼働させた場合の防じん対策をどのようにするのかが課題でした。そして、そのための一つの答えとして、サイクロンという装置を設置するというものがありました。しかし、サイクロンは、後記の弊社の意見にありますように、同装置をつけることにより火葬能力の低下を招き、それがひいては、防じんのためには、むしろ、マイナスであること、そして、このことはペット火葬炉業界での共通認識であったと思われます。しかるに、各条例でサイクロンの設置を義務づけているのは、防じんのための苦肉の策としてそのような装置を設置させて形に見える、目に見える対策を講じているということで、ペット火葬炉業者も各市町村もこれに甘んじていたという経緯があります。このことから、上記のように、サイクロン「又は」これと同等の機能・能力を有する集じん装置を設置すればよいと、必ずしもサイクロンの設置が必須ではないとの条例の規定がある市町村でも実際にはサイクロンを設置するよう指導してきたというのが実情であったと思われます。しかし、今般の堺市からのご回答:同市条例についての解釈・判断は、そのような目に見える形や形式ではなく、公衆衛生と生活環境の保全の観点から、防じんのための対策は実際にいかにあるべきかという実質的な観点から考えてのものです。実際、堺市のご担当者様は、弊社からの意見を踏まえて、半年の月日をかけて、ペット火葬炉の構造、その稼動態様などを十分に研究されて、形だけサイクロンをつければよいというものではなく、防じん対策のためのあるべき姿という実質的な観点からの規制をすることで実際の公衆衛生と生活環境の保全を図っていくうえで大事であり、必要であるとの考え方に至ったものです。そして、この流れは、実は、他の市町村でも同じような考え方を持っているところも多く、これからは、サイクロンが絶対ということではなく、柔軟に公衆衛生と生活環境の保全からの防じん対策をしていくことになるのではないかと堺市様のご担当者が語っておられました。したがって、これからは、サイクロンの設置が絶対、また、条例もそのように規定されているという市町村に対して、そのような装置が設置されているからというのではなく、防じん等の環境対策に万全を期するペット火葬炉ということが大事なことであることを働きかけていくこと、堺市の判断がその契機になり得ると思います。
⑵ そして、このような真に防じんのための機能と能力を有するペット火葬炉ということは、市町村の同火葬炉についての規制のあり方だけではなく、これを製造する業者おいても、このような機能と能力を有する火葬炉を製造することが責務となり、単にサイクロンを設置して防じん対策をしていますというだけではなく、同火葬炉を製造する業者は、防じんのために十分な機能と能力を有する同火葬炉を開発して製造しなければならいなことになり、この点からペット火葬炉業界も変革を迫られることになると言えます。
4 最後に、手前味噌になりますが、弊社のペット火葬炉につきましては、堺市様から防じん(その他の環境に影響を及ぼす臭気や煙の防止など)の点から、十分な機能と能力を有するものであるとして弊社新設のペット火葬炉につきましては、そのことを証する検査証明書等は不要であるとの大変ありがたい評価をいただきました。これは、弊社が、ペット火葬炉製造について長年月にわたって完全燃焼して粉じん、臭気、煙などを出さない、これを極力抑えることができるにはどのような構造にすればよいのかについて改良を重ねてきた成果であると自負しております。しかし、弊社におきましても、より生活環境に悪影響を及ぼさず公衆衛生に万全を期する製品にするにはどのようにしたらよいのかというこれまで続けてきた研究と努力を怠ることなく、これからも優れたペット火葬炉の製造に邁進する所存であります。皆様方におかれましては、このような弊社が製造するペット火葬炉を末永くご愛顧いただけますようお願いいたします。
「堺市の条例・規則を踏まえて の弊社の意見」
弊社の移動式ペット火葬炉は、サイクロンやスクラバーのような装置を備えてはいませんが、別紙の各証明書に記されているように防じんについての十分な機能を有しているペット火葬炉としての仕様・構造(別紙の仕様書、説明図面参照)となっています。これは、同火葬炉内で(条例第12条の⑷のアにも適合する)一定の高温でいわゆる完全燃焼をさせてペットを火葬するからです。このような構造と設備を有する火葬炉はその構造・機能から「防じんについての十分な能力・機能を有している」ものであり、実際、これまで弊社の(移動式)ペット火葬炉を稼働させても基準値を超える粉じん、のみならずダイオキシンその他の有害物質や臭気を生じさせたことはありません。したがって、弊社のペット火葬炉は条例第21条第1項、第12条の⑷のオ、規則第7条の⑶に適合するものと言えます。
このように、サイクロン等の装置が設置されていなくとも防じんについての十分な能力と機能を有していれば、「防じんについての十分な能力・機能を有している」ものと言えます。これは他の県の市の条例の「サイクロン又はこれと同等以上の機能を有する集じん装置を設置すること」(横浜市条例・規則)、「サイクロン集じん装置または洗浄集じん装置と同等以上の能力を有する集じん装置を設置」する(草加市条例・規則)にも適合する構造・機能となっているものです。しかるに、これまでの各地方公共団体の取り扱いでは、「サイクロン」という「装置」を設置することが求められることがほとんどでした(条例でペット火葬炉にサイクロンの設置規定が設けられたのは、同火葬炉を稼働させた場合に生じ得る煙、臭いや粉じんを防止するために、その最善の策として同装置を設置させたというのではなく、そのような装置を設置させれば一定臭いや煙を防止する形のある策を講じることができたとできるからです)。しかし、サイクロンのみの設置を求める扱いは、サイクロン「又は」これと同等の機能・能力のある装置を設置すればよいとの条例・規則の規定に沿うものではありません。また、条例や規則がペット火葬炉の構造や機能に規制を設けて一定の設備の設置を求めるのは、それにより粉じんその他の有害物質の排出、煙や臭いが出ることを極力防止して、もって、公衆衛生を確保し、ペット火葬の利用者や市民の良好な環境を保全するためです(条例1条)。そうであれば、大事なことは、形だけサイクロン等の装置を設置したというのではなく、そのペット火葬炉が、条例・規則の趣旨を全うできるだけの防じん等のための機能・性能を有するか、それだけの機能・性能を有する構造となっているかであると言えます。その点、弊社の(移動式)ペット火葬炉は、上記のように各証明書に記されているように、粉じん、その他の有害物質の排出を防止し、また、臭いも抑制する機能・性能を有しています。このような性能・機能を有するペット火葬炉は、サイクロンという装置が設置されていなくとも、その装置の設置によって達成しようとした粉じんその他の有害物質の排出を抑制して防煙・防臭を図りもって良好な生活環境を保全しようとする条例・規則の趣旨に適うものであり、「防じんについての十分な能力・機能を有している」ものとして堺市の条例・規則の上記各条項に適合する(他の県の市の条例・規則との関係でいえば、弊社のペット火葬炉の仕様・構造自体が防じんのためのサイクロンと同等以上の機能・能力を有する装置を備えたペット火葬炉と言えます)ペット火葬炉です。
その他、ペット火葬炉にサイクロンを設置すると、火葬能力が2~3割減じられることにもなり、これではできるだけ高温(摂氏800度以上)の状態で焼却する(条例第12条の⑷のア)という点からも弊害が生じ得ますし、火葬炉に負担をかけるような同炉の稼働方法にも問題があり、ひいてはこのような稼働方法を可能にするようなペット火葬炉の製造にも困難が生じます。
上記の次第で、弊社の移動式ペット火葬炉については、「遠心力集じん装置」等の装置は設置されていませんが、それを設置したのと同等以上の「防じんについて」の「十分な能力を有する」「集じんに関する機能を有している」ものとして上記の条例・規則の各条項に適合するものであることを確認していただきたいです。